映画『怒り』全国一般試写会開催!!

2016.9.17

いよいよ封切られた今年No.1の話題作「怒り」の舞台初日挨拶が、9月17日東京・TOHOシネマズ 日劇にて行われました。本作は李相日監督が手がけた「悪人」の大ヒットチームが再集結し、新たに挑戦した意欲作。今年の日本映画を代表する一本として呼び声高い「怒り」は、吉田修一の同名小説が原作。八王子で起きた殺人事件の現場に残されていた「怒」の文字。事件から一年後、素性の知れない三人の男が現れ、彼らと出会い、愛し、信じた人々の信頼と疑惑の間で揺れる様を、東京、千葉、沖縄、3つの舞台で繰り広げられます。
公開初日舞台挨拶では、本作をご覧になったばかりの観客が豪華キャスト陣を拍手でお出迎え。観客の皆さんからの質問に、キャスト陣が現場の様子を交えながら答えました。そして、最後には渡辺謙さんや妻夫木聡さんの音頭のもと、観客の皆さんと鏡開きや乾杯が行われました。そんな華やかな公開舞台挨拶の様子をレポートします。

渡辺謙さん
(槙洋平役)
上映後の舞台挨拶で言葉を発するのは非常に難しいんですけれど...。皆さんも、これまでの自分の世界と(この作品を)どう結びつけていくのか非常に難しいと思うんですけれど、これは李監督のせいです(笑)。とにかく本当に、「怒り」の初日舞台挨拶に足を運んでもらって感謝します。
森山未來さん
(田中信吾役)
(撮影を開始したのが)去年の9月ぐらいですかね。それでようやく一年後、皆さんに観てもらえて、ここに来ることができました。本当に感無量です。この後、質疑応答があると聞いています。話したいこともあるんですが、理解いただきながら、なんとかうまく話せたらいいなと思っています。
松山ケンイチさん
(田代哲也役)
今日は初日舞台挨拶に足を運んでいただき、ありがとうございます。きっと皆さんの心が揺さぶられる作品になったと思います。この劇場を出た後、生きていく糧に、栄養になってくれる作品になってくれたら幸いです。
綾野剛さん
(大西直人役)
この映画を観た時に、こんなに温もりがあって、こんなに愛おしい涙を流したのは何年ぶりだろうと、本当に心から思っています。観終わった皆さんにお会いできることを楽しみにしていましたし、同時に、いろいろと感慨深いです。
広瀬すずさん
(小宮山泉役)
初日を迎えることは、本当に夢のように思っていたので、今、こうして皆さんに観てもらえたことをすごく幸せに思いましたし、泉と一緒に戦ってくれたことはものすごく財産になりました。皆さんにこの想いを持って帰ってもらえたら嬉しいです。
宮﨑あおいさん
(槙愛子役)
この作品は私にとって、本当に大切な作品です。李組に参加できたことや、こうして皆さんとここに立てることを光栄に思っています。
妻夫木聡さん
(藤田優馬役)
ようやく初日を迎えたということで、今日は「怒り」という映画のスタートとなります。はじめて観ていただいた方々の前に登壇しているんですけれど、今までたくさんの宣伝をやってきた中で、「怒りってどういうことなんですかね?」って、怒りの矛先や概念について考えることが多かったんですが、今こうやって登壇して、皆さんの顔を見ていたら「この映画って救いの映画なんだな。」と感じています。お客さんからまた何かをもらえた気がしたんですよね。
この映画はどんどん育っていくんだなって今、すごく実感しています。ありがとうございます。いろいろな方に勧めてもらえたら嬉しいです。
李相日監督
初日というのは、実は不安なんですよね。不安というのは、「本気が果たして伝わるか」「本気の気持ちを出せば出すほど、嫌われるんじゃないか」「拒絶されるんじゃないか」という気持ちになってきます。でも、その本気で感じたこと、伝えたいことをこの七人で共有して、この七人プラス、すべてのキャスト、スタッフたちと映画を撮ることができました。宣伝のチームを含めて本気を共有してきたおかげでここに立っているなと思います。今日、観てしまった以上は本気を外に伝えてください。
MC
今日はぜひ皆さんから映画の感想、質問をお聞きしたいと思います。
観客1
渡辺さんに質問ですが、ハリウッドの監督とお仕事をされていますが、その渡辺さんから見た李監督の魅力は何ですか?
渡辺さん
映画評論家の方ですか(笑)? (「許されざる者」の監督・主演の)クリント・イーストウッドにしても、クリストファー・ノーランにしても、それぞれ映画を撮る手法はまったく違うので、一本一本違うことにジャストしていくかと思うんですけれど、特に李監督の場合は、「役をつくって何かを表現する」というのを見たいんです、と。まあ、彼から要求はしないんですけれど、出てくるまで待たれるんです。本当にそこにきて、彼が何を悩んで何を感じているのかっていうのをむやみに演技、表現しないで、ちゃんと役として生きてほしいということを正直に役者と向き合うんですよね。
この役に関しても僕の中にあまりない心情がたくさんあったんですけれど、撮影を進めていく中で、親としては複雑な思いとして今まで背負ってきたものを(槙洋平に)託せるかなって思いましたし、自分の嫌な感情まで心を開かせられるという感じがあるんですね。それを李監督は丁寧に待ってくれて、切り取ってくれて...。もしかしたら、映画に出ていない部分もたくさんあると思うんですけれど、そのすべてがこの空気の中に醸し出されている、そのことを僕は前作の「許されざる者」で十分理解したので、今回も次はこの原作の映画化を考えていますと言われた時に、「やります」という言い方をしないで、「いつから?」と、そういう風にこの話を受けました。

李監督
ストレートな表現をこの中の誰にもしていないんですね。たとえば、「こういう気持ちでやってください」とか、僕は一言も言ったためしがなくて...。「今、この人は、どう思っているんですかね?」という質問形式が多いんですけれど、そういうことに、とことん面白がってくれているのか、愛だと思ってくれているのか、そういう俳優たちじゃないと、たぶんもたないというか。つきあいきれない。そういう忍耐力のあるすばらしい俳優だからこそ、成り立っている。僕一人じゃなくてお互いで成り立っている映画だなと思います。
観客2
キャストの方、これまでの作品とは観たことのない表情、演技をされていてすごく胸を打たれました。

宮﨑さんにお聞きします。渡辺さん、松山さんと演じて、「当初思っていたのとは違った」とか、それぞれどんな印象をもちましたか?
宮﨑さん
松山さんとは、十年以上前に映画で一度共演しているんですが、その時は、線が細い少年の役だったからなのか、私にとっては年下の物静かな男の子という印象があって...。今回、お会いしてみたら、実は年上だったこととか、とてもおしゃべりが好きで飄々としていて、思ったことはすべて口に出してくれるとても気持ちのいい方でした。撮影中、すごく助けられた部分がありまして、あるシーンのリハーサルをした時に行き詰ってしまい、監督に「二人でお風呂場みたいなところに入っていろ」と言われました。「なんか生まれるでしょ?」みたいな(笑)。二人で一時間以上個室にいたんですけれど、「どうしよっか?」「なんかこういう提案をしてみようか」っていう話し合いをして、三つぐらい案を出したんですけれど、その時もリードしてくださって。監督の前で三つくらい提案し、OKをいただいた事があります。松山さんは、とても頼りがいのある存在です。お父ちゃん(渡辺さん)は...。(泣きそうな表情になりながら)私、今とてもさみしくて。今日から映画が公開されるので、皆さんのものになっていくのはすごく嬉しいんですけれど、明日からお父ちゃんに会えなくなってしまうんだなと思うと...。

現場でもすごく支えていただきましたし、いつも一人でいることが多いので、自分の居場所をつくっていただけたと思っています。お父ちゃんが横にイスを置いて、私はそこにいてお父ちゃんと話をするでもなく、一緒の時間を共同できた、そういう時間があったからこそ「愛子とお父ちゃん」という関係ができあがったと思っています。だから、お父ちゃんについていけば大丈夫だという安心感があるので、私は謙さんの娘を一回でも演じられたことを幸せに思っています。
渡辺さん
彼女(宮﨑さん)がこの役をやろうという思いというか、覚悟みたいなものを感じていたので、少しだけ先輩なんですけれど、俳優同士としても、先輩としても見届けたいと思ったし、サポートできるならサポートしたいと思いました。映画撮影としては短い時間だったんですけれど、本当に生活をさせてもらったような感じです。とても濃密な親子関係を築くことができたと思いますし、撮影期間も楽しい時間を過ごさせてもらったので、あおいちゃんと同じような気持ちで...。でも、まあ、これからも連絡くださいね(笑)。
観客3
妻夫木さんに質問です。優馬がお母さんから言われた、「大切にしているものが多すぎる」という言葉が心に残っているんですが、妻夫木さんが今、大切にしているものや考えがあれば教えてもらいたいです。
妻夫木さん
人ですかね。家族や友達や、人と人の絆がないといいものなんて生まれないし、仕事だとしてもそうだし、感情がぶつかり合う瞬間を大切にしています。(母親役の)原日出子さんも、一緒に時間をかけて一緒の時間を過ごしてやっていたんですよね。台本に書かれていない匂いや、空気だとか、そういうものが出たんじゃないかなって。
剛(綾野さん)が(原さんのセリフを)聞いているたたずまいだとかがあるんだけれど、その空気だけで感情が伝わってくる感じというのは、人と人が交わらないと伝わらないものなので。そういうのを大事にしていきたいなと思います。
綾野さん
あと、愛というものにすごく壮大的にテーマをもっていると思います。
観客4
綾野さんに質問です。直人は優馬と過ごして大切なことに気づいたと言っていたんですけれど、綾野さんは妻夫木さんと過ごしていて気づいたことはありますか?
綾野さん
まず、優馬と直人の関係性の中で、非常に大切にしていたのは、「我々はマイノリティであるということ」と、「お互いに正面を向くということ」が映画の中でないというところなんです。優馬の中で自分はマイノリティであるということをある場所では隠しているし、いろんなジレンマを抱えながら生きている。それに対して僕が正面に立ってしまうと鏡のように知らしめることになってしまうから、僕たちは同じ景色を二人で見る。だから自然と横並びなんですね。

ある映画のシーンで優馬の正面の顔を見た時に、僕は涙が止まらなかったんですけれど、そういう関係性を築いていく上で、僕は一緒に生活をさせてもらっていました。すごく単純で普遍的なんですけれど、「ただいま」という言葉と「おかえり」っていう相手がいるっていうことがこの作品にすごく影響していると思いますし、改めて非常に大切なコミュニケーションだと改めて感じました。
妻夫木さん
人ですかね。家族や友達や、人と人の絆がないといいものなんて生まれないし、仕事だとしてもそうだし、感情がぶつかり合う瞬間を大切にしています。(母親役の)原日出子さんも、一緒に時間をかけて一緒の時間を過ごしてやっていたんですよね。台本に書かれていない匂いや、空気だとか、そういうものが出たんじゃないかなって。
剛(綾野さん)が(原さんのセリフを)聞いているたたずまいだとかがあるんだけれど、その空気だけで感情が伝わってくる感じというのは、人と人が交わらないと伝わらないものなので。そういうのを大事にしていきたいなと思います。
MC
最後に、沖縄チームに質問がある方?
観客5
広瀬すずさんに質問です。今までの作品と違って苦労したところありますか?
広瀬さん
苦労? 監督との戦いです。一番、未來さんがよく見てくださっていて...。
森山さん
見ていました。
広瀬さん
泉はいろんなところに住んでいて、いきなり沖縄にポンときて、森山さん演じる田中と出会った、という関係で物語が進んでいくので、泉が生きてきた十七年間のいろいろなことがこの映画の物語に結び付くまでのシーンだったり、心情をとにかく監督と話し合って表現するのが、本当に大変でした(笑)。
森山さん
現場に入る前から、東宝のリハーサル室で何度もリハーサルをしたり、現場で何度もリハーサルしました。すずちゃんが、どんどんクシャクシャになっていく姿を見ていたんですが、でも、目だけはキラキラしていました。ずっと巨人の李監督を見上げていた印象しかないです。そんなすずちゃんだから、なんかケアとかした方がいいかなって思うんですけれど、観てもらった通り、実際に仲良くなってもストーリーの中では曖昧な存在なので、あまり近づけない。だから、僕はすずちゃんのクシャクシャになっていくところを傍観して見ていることしかできなかったですね。なので、心中お察しするのみです (笑)。
(鏡開きを行う)
渡辺さん
この映画が本日いよいよスタートします。皆さんの力を貸りて、鏡を割りたいと思います。せーの!
キャスト&観客
よいしょ!
MC
それでは最後に乾杯のご発声を!
渡辺さん
乾杯は妻夫木に頼んでいいかな?
妻夫木さん
これからも「怒り」をよろしくお願いします。乾杯!!
会場
乾杯!
MC
最後に渡辺謙さんから、お願いします。
渡辺さん
とてもにぎやかな舞台挨拶なんですけれど(笑)、映画を観終った皆さんの気持ちを噛みしめて、気をつけてお帰りください。僕、試写室で初めて観た時と、トロント映画祭で二回目を観終えた後で、「こんなに違う感情が沸き起こってくるのか」と、改めて驚くぐらい深い映画を観たような気がしました。今日だけではなく一カ月くらい過ぎて、落ち着いたかなと思うところで、もう一度観てみてください。その時の自分の感情や心情でもっと深い世界に入れると確信しています。すべてのキャスト、スタッフ、そして坂本龍一さん、吉田修一さんの本気の思いと、それをまとめあげた李監督の思いが皆さんに届き、全国に届いていくことを確信することができました。本当に、ありがとうございました!